冬の夜のものがたり
「お、恐ろしいよネ・・・」とテレビを観ながら俺は呟いた。
冬だというのにまるで春を思わせるような、妙に生暖かい日だった。
その夜、俺はとある食堂でラーメンを食べながら横目でテレビを観ていた。
テレビでは最近、頻繁に起きている“通り魔事件”の報道をしていたが、その中で危険防止の為か、顔にボカシをかけた被害者の女性が恐怖に声を震わせ、時折どもりながらインタビューに答えている。何でも・・・
“夜歩いていると、背後から顔面に果物ナイフのような物をつきつけられ、金品を脅し取られた後、殺されそうになったが、すきを見て命からがら逃げ切った”ということらしい。
で、犯人の人相だが、“迂闊にも気が動転し、顔を見るゆとりさえなかった”とか・・・
ま、思うに・・・これは、アンバランスな精神文明と物質文明が引き起こした「副作用」といっても決して過言ではないかも知れない。
何かが狂っているんだ・・・おそらく・・・
食事を済ませて店を後にし、歩いていると、肉感的な女子高生とすれ違った。
彼女は携帯電話をしながら歩いていたが、その様子から見ておそらく彼氏とでも話しているのだろうか・・・そんな気がする・・・
やがて話が終わると、彼女は携帯電話をコートの右ポケットに仕舞い込み、足早に通り過ぎていった。
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だが、暫くすると何故か、女子高生の背後に・・・俺がいる・・・
そう、果物ナイフ・・・のような物を持って・・・
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