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夜鳴きソバ

夜、ひもじい思いでいると、ちょうどタイミングよく「ペレレ~」とまるであめたようなチャルメラの音色が俺の耳に聞こえてきた。
さっそく小銭を握り締め、サンダル履きで駆けつけると、軽トラックに屋台を載せた夜鳴きソバ屋がノロノロとダルそうに道を走っていたのだ。
俺は傍へ寄り「一つくれ!」と注文した。オッサンはそれを聞くと「一丁ネ!ハイよ!!」とダミ声で返事をし、いかにも不慣れな様子でチンタラチンタラ準備に取り掛かったのである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ダミ声のオッサンはラーメンを作りながら話をし始めた。

「今、私ら困ってるんだよ」
「どうしてだい?」と俺が訊くと・・・
「実は同業者の中に不味いラーメンを食わせる奴らがいるもんで、屋台の評判がガタ落ちさ」
「ホ~。。。」
彼は続けた。
「あんなのはニセ者だから、あんた騙されちゃいけないよ」
「じゃあ、今夜はそんなのに出会わなくて運が良かったかな?」
「そうそう、そんなところだ」
「だったら今夜は美味いやつが食えるな」
などとそんな会話をしてるうちにラーメンはあがり、俺は600円支払ってそれをウチに持ち帰った。そして「しかし・・・今迄騙されていたとはなァ~。。。どうりで・・・ま、とにかく食えば分るだろう」と思いながら、麺を「ズズー」と口の中に流し込んだが・・・
その途端全てを悟った。やはり騙されたってことらしい・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そう、あのダミ声のオヤジに・・・

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