ナンパ道
その男はお世辞にもナンパが上手いとはいえなかった。
いつだったか・・・下着が見えそうな程、丈の短いスカートの女子高生がバスストップに立っているのを見かけた時、「こいつならチョロいな」と思い、声をかけたのだ。
だがそのあと何を言っていいのか分らず、モジモジしている間にバスが来て彼女はそれに乗って行ってしまった。
また他にも・・・半尻のジーンズの女が自動販売機でタバコを買っているのを見かけた時、男はムラムラと欲情し、血走った目のまま声をかけたのだ。
だが前回と同様で、何を言っていいのか分らず、モジモジしている間に彼女は怪訝な表情をして帰ってしまった。
「どうもこれはマズい」と彼は今迄のやり方を反省し、「自分に欠けているのは他でもなく、巧みな話術なのだ」と悟ったのである。
一時間後・・・彼はスーパーの書籍コーナーを目指していた。
ナンパの為の話術を身につけようとしたのだ。
書籍コーナーは一番の奥だが、その途中に家具コーナーがあり、そこに豪華で大きな鏡が立てかけてあった。
彼は何の気なしに鏡を覗いてみた。
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豪華なその鏡の中・・・どう見ても七十歳をとっくに越えたと思われる老人が、しわくちゃの顔で男の目をじっと見つめていた・・・
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